あとは彼の愛情だけが頼り。
彼女は不安で淋しいのか、今夜も私のところに来た。
私は、彼が今考えていることを私なりに分析したことを伝えた。
「そうかなあ、入院して10日も立つのに私にはぜんぜん連絡ない。そんなに私のこと好きならば、なんらかの連絡あるはず。音沙汰なしです。それでも、携帯はいつも気にして見てます」
彼女はあの事件から、あきらめようと一度は決心したが、あきらめられないで引きずってる自分がいることを話してくれた。彼女も、この10日間はいろいろ考えたらしい。
「あまり深刻に考えると、赤ちゃん、母体に良くないよ」と即しても、今の彼女は聞き入れないだろう。何とか、赤ちゃんが生まれる前にこの事態を良くしたいと思った。
「しかし、何故あいつは連絡よこさないんだろう」
「たぶんそれは、彼が入院しているのは大学病院だし、高度医療の病院のせいだと思う。電波法があって、病院の中で携帯使うと医療器械に弊害をもたらすからさ、特に大学病院は重症の患者が多く、ペースメーカ・脳波形・心電計・ハートモニター・人口呼吸器・保育器など患者の生命を監視してる器械に影響があると、患者の命に関わるからね。大学病院には、そんな医療器械がいっぱいあるから」
「そうなんだ、私が入院したときは、隠れてメールとか打ってたけどね」
「病院によってさ、大学病院はその点は普通の病院より厳しいと思うよ」
。。。。彼女の携帯に着信音。。。「??公衆電話だ?」
電話の主は彼だった。
「ゴメーン、連絡しなくて悪かった。ここ携帯ダメなんだよ。看護婦がうるさくて、元気してたあ」
と悪びれのない声で電話してきた。彼女は「どんだけ心配したか分かんなかったの!」と強い言葉でいっても、彼はあんな事件があったこと、人事のように忘れてた感じで電話してきた。
ほんと、彼女といると偶然が重なる。彼女が10日間一人でいても電話ないのに、私のところに来ると彼からよく電話がかかってくる。まるで、この恋愛の行方を見守ってほしいといわんばかりに。
どうやら、彼は病室では携帯を使って電話できないので、松葉杖をつきながら公衆電話のあるところまで、頑張って足を運んで電話してるらしい。
私は席を立つことにした。たっぷり話しなさいと彼女に目線を送りながら。
外で一服しながら、「愛は勝つ」とつぶやいた ☆外はいい星空だった☆
次回へ。