大粒の涙がとめどなく流れる。。。。
声えを出して「ワーッ」と泣くわけではなく、静かに涙腺から水の輝きが光って頬を伝わりながら零れ落ちていく。4人は静かな愛しく可哀相な空間を過ごす。ほんの数分だったが。
女性が涙したわけは、私の一言だった・・
「彼はそうとう傷ついたんだね」。
土曜の夜、3人の女性のお客さんが占い館に来た。3人は仲良しグループで学生時代からの友達らしい。3人は久しぶりに飲み会をし、帰りに友達の評判を聞いたという理由で占いに来たのである。
仲のいい3人なので、プライベートの部分は聞かれてもいいと言うことなので、3人同時に鑑定室に入ってもらった。女性客は複数で来られることが多い。鑑定も同時に希望することが多い。どうやら一人では不安らしく、一緒のほうが心強いみたい。また、待合室で待つのも淋しい。
3人とも四緑木星の人で、年齢は25歳である。そろそろ結婚を真剣に考える年頃である。もちろん相談は、恋愛から結婚の流れまでを見てほしいという希望である。
一人目のお客さんを見ていくと、「あなたの次の出会いの時期は、もうすぐだね・半年後ですよ」と私が言うと、アルコールが少し残ってるせいか、3人はキャーキャーうるさいのである。がぜん盛り上がってきた。二人目はちょっと恋愛運が弱く、2年先に薄っすら相手が見えます。少し頑張りましょう。そういうと本人は不満らしく、「そんなに待てない。」何とかしてという。うーんこればかりは、本人の努力以外方法はない。手相は今現在のあなたの能力から割り出して先を読んでるのである。恋人が現れるのに2年も先になるのは、本人が異性を求めてないか、今恋愛をする気ないのである。それを言うと、「そうだよね、今彼氏ほしいと思わないもん」と言った途端、「Kちゃん、彼氏ほしくないのに、先生に何とかしていうのはおかしいよ」最初に見た子が言うと3人は大爆笑である。「いいわね、Mは半年後に彼氏できるから、私なんか2年先だって!やんなっちゃう、もっと女磨かないと!」私も含めて4人笑う。。。
3人は占い好きで、有名な新宿の母や大泉の母など暦占してた。私なんか無名に比べると日本を代表する占い師の名前が続々でてくる。「他の先生方は、どんな占い方してたの?」逆にこちらが教わるくらいである。新宿の母は10分くらいで、お父さんが病気だと当てた。恋愛のこと聞こうと思ったけど時間で終わっちゃった。大泉の母は生年月日と名前でやったかなあ、Kなんか竹で肩をぶたれた。すごく恐かった。あと10分1万円の占いしたことあるけど、あまり当たってなかった。などなどである。
はあ、すごいね。まあ、私は私なりの方法で自分のペースで占いを進めた。
初めの二人は占いを楽しんでるふしがあって、私の話をいいアドバイスくらいにと受け取っていたのである。私もそのつもりで、アドバイスを続けた。ところが視線が気になる。
その視線は3人目の子だった。
二人に話した私の話を、一言も聞き漏らさず聞いていたのである。真剣に勉強をしている学生のように、講師がいった言葉を全部記憶しようとする態度で、真剣な眼差しを感じた。
3人目の女性に占いの順番がまわる。手が汗でびっしょりである。よほど緊張してたのであろう。
そして、その女性がつい最近大失恋したことを知る。4年も付き合った相手だった。
「君が裏切ったのですか」と私が聞くと、女性はコクンとうなずく。そのとき彼女の涙腺は緩んでいた。「彼はそうとう傷つきましたね・・」といった途端・・大粒の涙が零れた。
それまで、フレンドリーな雰囲気が、いっぺんに静かな湖畔になった。仲の良い二人の友達も彼女の心情を察しているので、下をむく。Mちゃんはそっとハンカチを涙してる彼女に手渡す。
その子の涙は感動であった。私も心をうたれ、友達もそうであった。
何とかしてやろうという気が、その涙には十分あった。