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彼のマイナスの言葉を否定してやる気にさせる

メールは送信された。

 彼からは、すぐに連絡はこない。それも予想通りである。

 「誰だって、この内容のメールは戸惑うからだ。まるで、警察から出頭命令を受けた気分である。彼はこのメールをみて、あせっているのであろう。・・ついにきたか・・と、しばらくどうしていいか分からない状態である。でも、考えるであろう。考えたあと、このままではまずいことになるから、必ず君に連絡するはずである。それでも連絡来なければ、再度同じようなメールを送ればいいのである。ここまできたら、手段は選ばない。彼と話し合うことが先決だ。」

 それを聞いて彼女は、納得して彼からの連絡を待つことにした。

 「明日には彼から、連絡あるはずだ、そこで君に、心構えをつくってほしいことがあるんだけど」

 「心構え?」

 「そう、心構えです。それは、彼が言うマイナスの言葉を全部否定するのさ」

 「彼の言い分もあるだろう、それは全部聞いてあげよう。その言い分の中には、とても無理だとかやっていけないとか、子供はおろしてくれ、と言ったたぐいのマイナスの言葉がでるはずだ。彼が言うそのマイナスの言葉を全部否定するのさ、こうすれば、やっていけるんじゃないのと。逆に彼を説得してほしいんだ」・・「彼を説得?」

 「間違えても、ねえ、どうしてくれるの!とか、どう責任とってくれるの!という言葉を使っちゃいけないよ。そうすると、彼はプレッシャーを感じて逆ギレするかもしれない」

 「彼も、不安なんだ。まだ若いし、あのくらいの年齢の男の子はみんな不安で先が心配で逃げ出したくなるのさ、どうしていいか、自分では分からないのさ」

 「その不安な男を、君の説得でやれるという気持ちにさせるのさ」

 「男ってだらしないのね、女がそこまでやらないとダメなんですか」

 「ああ、男はすぐに不安になる動物さ、こういうときは女より弱い」

 「ただし、男はやれるという方向性が見えてくると、俄然頑張りだす。自分だけが責任をしょわなくていいとわかるとやる気もでてくる」

 「君の役目は、彼のマイナスの言葉を全部否定して、彼をやる気にさせる。それが役目だよ」

 「なんか、めんどくさい・・」

 「前にも言っただろ、君がこの恋愛をリードするのさ!」

逃げる男を逃がさない方法

「まず、彼と連絡取り合わないといけないね」

 「それが、何やってもダメなんです。メールや電話を何回もしてるのに、返事よこさない」

 「いい加減、萎えてきて、彼に連絡する気もなくなってきました。もう疲れた・・」

 彼女は、何回かメールや電話してるのに、メールの返信はなし、電話にもでない状況である。彼の性格を判断すると、もうあんな女とはおさらばだ、これは悪夢だ、この嫌な問題は逃げていればいい、いずれ解決するだろう。そうだ、きっと彼女は自分で中絶するだろう。中絶費用請求されたらどうするか、そんなもの金がないから払えるわけない。そうだ、オレは知らないと言って無視すればいい。

 こういう状況で逃げる男は、たいていが自分の都合で物事を考えがちである。たとえ、好きな女でも、責任という重い荷物からは逃げたいのである。逃げていれば、何とかなるという甘い考えである。そういう男の場合は男の弱点をつくのである。
 
 「男の弱点?」・・「そうです男の弱点です」
 
 男の弱点は、社会人であれば、直属の上司である。仕事や社会でトラブルが生じたとき、相手の対応が悪い場合、直属の上司に言うのが一番効果がある。男は何より直属の上司が一番恐いのである。

 そして恋愛関係においては、彼女の親、特に父親が一番恐いのである。

 それからもっとも効果がある彼の直属の上司は、「彼の母親さ!」。「あいつの母親?」

 「そう、彼はマゾコンで母親に頭が上がらない、そして母親にしかられるのを一番恐れている。おそらく君が妊娠したこと、彼はまだ母親に話しをしてないだろう。いや、彼の性格上できないね。」

 「でも、私は自分の母親があいつの家にいくの止めたし、まして彼の母親に会いたくない」

 「彼の母親に、今君が会う必要ない。いずれ、親同士で話し合う機会はでてくる。その前に二人で話し合う必要があるだろう。そのために、彼の母親という存在を有効に活用するのさ」

 「活用って。どうするの?」

 「また、演技メールをつくるのさ、彼は電話にはでないけど、メールはみてるはず、不安でしかたないから、君からのメールは必ずみている」。。そして、メールをつくる。内容は、○○から、連絡来ないから、うちのお母さんが○○のお母さんに会うと言ってる。私は止めたんだけど、うちの母は言い出したら聞かない、どうしょう。○○と相談したんだけど、連絡くれないかな。

 「この内容だと、彼すごく怒るわ」  「それが作戦さ!」  「え!作戦?」

 「彼の感情に動揺を与えるのさ、たぶん、テメーよけいなことしやがってと怒るだろう、それがねらいさ、まず、君に大事なのは、彼がそのことでキレようが怒り狂おうが気にしないことだ。」
 
 「彼の気学の性格上、始めは怒るだろう、でもやがて反省に変わる。そして真剣に物事を考える」
 
 「その時点で君が冷静に話をリードしてもっていく、いいかい彼がどんなに怒り狂おうが君はあくまで冷静に対応するんだよ。それさえできれば、今後のことはちゃんと話をすることができるから」

 彼女は納得して、メールを送信した。